源九郎義経−LaLa全サ・ナレーション&ラブメッセージ
ナレーション/源九郎義経
   お前に倒れられては、皆が困るからな
   気にするな、お前を守りたかった──ただ、それだけだ


平家を倒し、兄上とともにこの世界に平穏を取り戻すこと──
それが…それこそが、俺の戦う理由
源氏の一員として棟梁たる兄上の力になることが俺の夢であり、
誇りなのだと、そう思っていた

──あの頃までは

橋姫神社にお前たちが現れたときのことを
俺は昨日のことのように憶えている
ただのおとぎ話だと思っていた、京を守るという龍神と神子が目の前に現れ、
そのうえ俺があの八葉の一人だと言うんだからな
本当に驚いたし、何より信じられなかった

いきなり創造上の人物を名乗ったかと思えば、
その口で兄上を「源頼朝」と呼び捨てにしたしな

細い首に華奢な手足、これまでろくに剣を握った経験もないだろうと思った
景時や弁慶は何を思ったかは知らないが、
俺はそんな素性のはっきりしない、身を守る術もない、
何より女子供を戦場に連れてはいけないと、そう突っぱねもしたが…
今では信頼できる、その…仲間だと思っている

だが、怨霊を封印できる神子が味方であっても、
まだ我ら源氏を取り巻く現状は楽観視できるものではない
八葉にもそれぞれの立場があると分かってはいるんだ
だが、封印しつくすことのできないほどの怨霊、そして還内府──
じきにまた新たな戦が始まるだろう

たとえ相手が平家であろうと…仇敵の平家だからこそ、正々堂々と戦いたい
だがそれを、どんな信念を貫くにも力が必要だ
俺はこの先も強くあれるだろうか
兄上の、俺を信頼してくれている仲間の期待に応えられているだろうか

俺は強くありたい
強く、誰よりも強くありたい
どんなときも、誰のことも守れる自分でありたいんだ

戦いが終わったら、お前が元の世界に戻れるように力を貸してやる
安心しろ、お前との約束なら必ず──果たしてみせる


ラブメッセージ/源九郎義経
おい

…おい

?おい、こんなところで一体どうし…なんだ、寝ているのか

まったく、縁側で昼寝とは…まるで猫みたいな奴だな
しかし…ずいぶんと気持ち良さそうに寝ているな
ん?今笑ったか?…なんだ、いい夢でも見ているのか?

お前は気付いているだろうか
俺は…俺は、お前の笑った顔が…見ている者も幸せな気分になれる、
そんなお前の笑顔が…わりと、嫌いじゃないんだ

だがなぜか、最近直視できないでいる
こうして…寝顔を見ることはできるのにな

幸せそうに眠るお前を見ていると飽きない
ずっとこんな風に、穏やかに寝ていられたらいい
こんなことを思ったのは…お前が初めてだ

しかし…細い手首だな
こんなこと、今さらだろうが…これでよく、ああも剣が振り回せるものだな
これが男女の違い、というやつなんだろうか

髪も流れるようで…やっぱり、俺とは手触りからして違うな
それになんだかいい香りもするし…これは花の香りだろうか
睫毛も長くて頬に影が…

──っ、いや、人の寝顔を覗き込むなど、ぶしつけだったな

…なっ、起きていたのか!
今、俺の名を呼んで…ああ、寝言か…

…っ!…おい…今のも寝言なのか?
俺の夢を見ているのか?どんな夢を…?

う、うわっ、お、おお起きたのか!
あ、いや、別に俺は何も言っていないぞ!
…何か聞こえた?なんでもない!お前の空耳だ!

そんなことより、起きたのなら行くぞ
どこにって、約束しただろう
時間ができたら、お前が行きたいところへどこへでも連れていくと

なんだ、まだ決めてなかったのか
…俺の好きな場所?
そうだな、俺は──